こちらの記事では、ひとり親家庭が受けられる児童扶養手当の概要と、申請の流れ・方法についてくわしく解説します。
シングルマザーが知っておきたい「児童扶養手当」のあれこれについて、確認していきましょう。
・児童扶養手当(じどうふようてあて)とは?
・誰がもらえるの?対象は?
・支給金額はいくら?
・申請方法・流れについて
児童扶養手当(じどうふようてあて)とは
児童扶養手当(じどうふようてあて)とは、離婚などにより父または母の一方から養育を受けられないひとり親家庭等の子どものために、自治体から支給される手当てのこと。
経済的な負担が大きいひとり親家庭の生活の安定と、児童の育成や自立の促進を目的として設けられています。
児童扶養手当の支給対象者
児童扶養手当の支給対象者は、18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護する父子家庭の父親、母子家庭の母親、もしくは父母に代わって児童を養育する祖父母など。
父母が婚姻を解消した子ども、父または母が死亡した子ども、父または母が一定程度の障害の状態にある子ども、父又は母の生死が明らかでない子どもを監護している必要があります。
児童扶養手当の支給額
児童扶養手当の支給には、前年の所得に応じて手当の全額を支給する「全部支給」と、一部のみを支給する「一部支給」があります。
※支給額は令和7年4月〜の金額です
区分 | 全部支給 | 一部支給 |
児童1人 | 46,690円 | 11,010〜46,680円 |
加算額
児童2人目以降1人につき |
11,030円 | 5,520〜11,020円 |
児童扶養手当の月額は、児童扶養手当法に基づいて計算されているため、全地域で同一金額です。
以前は、第2子と第3子以降で加算額が異なりましたが、令和6年11月1日から児童扶養手当法等の一部が改正され、第3子以降の加算額が引き上げられました。(第2子の加算額と同額)
所得制限限度額について
児童扶養手当には、前年の所得金額に応じて「全部支給」と「一部支給」となるため、所得制限限度額というものが設定されています。
全部支給・一部支給の判定基準となる所得限度額を以下の表にまとめました。
全部支給となる所得限度額 | 一部支給となる所得限度額 | |||
扶養する 児童の人数 |
収入ベース | 所得ベース | 収入ベース | 所得ベース |
0人 | 1,420,000円 | 690,000円 | 3,343,000円 | 2,080,000円 |
1人 | 1,900,000円 | 1,070,000円 | 3,850,000円 | 2,460,000円 |
2人 | 2,443,000円 | 1,450,000円 | 4,325,000円 | 2,840,000円 |
3人 | 2,986,000円 | 1,830,000円 | 4,800,000円 | 3,220,000円 |
4人 | 3,592,000円 | 2,210,000円 | 5,275,000円 | 3,600,000円 |
5人 | 4,013,000円 | 2,590,000円 | 5,750,000円 | 3,980,000円 |
たとえば、児童を1人扶養している場合、1名の扶養親族として「全部支給」できる所得限度額は1,070,000円未満、「一部支給」できるのは2,460,000円未満までとなります。
一方、児童を1人扶養しているひとり親家庭で、本人の前年所得が2,500,000円の場合、所得の上限を超過するため、支給停止ということになります。
※ 所得限度額以上の所得がある場合は、児童扶養手当を受け取ることができません。
児童扶養手当の支給日
児童扶養手当の支給月は、1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回、それぞれの支払月の前月までの2か月分がまとめて支払われます。
※2019年11月分の児童扶養手当から、支払回数を「4か月分ずつ年3回」から「2か月分ずつ年6回」に変更されました。
障害基礎年金を受給しているひとり親の場合
これまで、障害基礎年金や労災保険法による障害補償年金を受給しているひとり親は、障害基礎年金等の受給額が児童扶養手当を上回る場合、児童扶養手当を受け取ることができませんでした。
しかし、令和3年(2021年)3月分の手当からは、障害基礎年金の全体の受給額が、児童扶養手当を上回っても、子の加算部分を超える金額は受給できるようになりました。
たとえば、児童扶養手当(児童1人・全部支給)が46,690円のとき、障害基礎年金の子の加算が19,942円(児童1人目)であれば、差額の 26,748円が児童扶養手当として支給されます。
ちなみに、障害基礎年金等の受給額が児童扶養手当を下回っている場合は、その差額分が児童扶養手当として支給されます。
児童扶養手当を支給するまでの流れ・申請方法
児童扶養手当を受け取るためには、各自治体の窓口で申請手続きを行う必要があります。
こちらでは、児童扶養手当を受け取るまでの申請の流れについて解説していきます。
申請方法の詳細に関しては、お住まいの市区町村ごとに少しずつ異なるため、大まかな申請手続きの流れについてお伝えしますね。
▶︎ 児童扶養手当を支給するまでの全体の流れ(申請~支給まで)
- 必要書類を事前にそろえる
- 最寄りの自治体窓口(福祉課、子育て支援課など)で相談・申請
- 自治体内にて要件確認、所得の審査を行う
- 審査に通過すると、約1〜2か月後に認定通知が届く
- 認定された翌月以降から支給開始
申請に必要な書類一覧
児童扶養手当を申請する際に、準備すべき必要書類は以下の通り。
お住まいの自治体によって必要な書類は異なりますが、主に次のような書類が必要です。
必要な書類 | 補足 |
児童扶養手当認定請求書 | 自治体窓口または各自治体ホームページで取得 |
申請者と児童の戸籍謄本(全部事項証明書) | 発行日から1ヶ月以内のもの |
申請者名義の預金通帳等 銀行口座がわかるもの | 一部のインターネット銀行・金融機関は除く |
申請者本人の確認書類 | 運転免許証・保険証など |
申請者と児童のマイナンバー確認書類 | 通知カードやマイナンバーカード |
その他 | 年金手帳、障害者手帳など |
児童扶養手当を支給するまでの流れをまとめると、
お住まいの市区町村の役所(子育て支援課・福祉課など)で申請し、
支給開始(審査が通過する)までに約1〜2か月かかり、
申請の翌月分から児童扶養手当は受けることができます。
児童扶養手当を受ける際の注意点
最後に、児童扶養手当を支給する際の注意点についてお伝えします。
以下の2点について、しっかりと確認しておきましょう。
支給停止制度による一部支給停止措置
児童扶養手当の受給から5年経過後に、障害や病気、親族の介護のために就労困難であるという事情がないにもかかわらず、就労や求職活動をして自立に向けて努力していない場合、5年を経過した翌月の手当から、支給手当額の2分の1を支給停止とする制度に変わりました。
児童扶養手当には「ひとり親の自立を促す」という観点から、5年以上継続的に受給している人に対して、就業や能力向上の努力があったかどうかが問われます。
そのため、5年以上児童扶養手当を受給しているひとり親家庭には、その年の現況届の際に、「児童扶養手当の受給に関する重要なお知らせ」も送付されます。
※ 案内にしたがって、就労をしている等の届出の手続きをすることで、5年経過後も以前と同額の手当を受給することが可能となります。
現況届を毎年8月に提出する必要がある
児童扶養手当を受給しつづけるためには、「現況届(げんきょうとどけ)」を毎年8月に提出する必要があります。
現況届とは、前年の所得や世帯の状況を確認するために、市区町村に届け出る書類のこと。
毎年7月末を目処に自宅へ送付され、8月中に提出しなければなりません。
現況届を提出しないと、児童扶養手当が支給されなくなってしまうのでご注意ください。
また、子どもの祖父母との同居、子どもの1人が父親または母親に引き取られたなど、世帯の状況が変わった場合や、再婚など資格喪失する事由が発生した場合には、その都度届出が必要です。
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まとめ
児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支える上で、とても大切な制度です。
離婚や死別、未婚などの理由で一人で子育てをする方のために、子どもの健やかな成長と、ひとり親の自立を後押しする目的で実施されています。
児童扶養手当の申請には、必要書類や所得の確認なども必要ですので、まずはお住まいの自治体に相談してみてくださいね。
制度を正しく理解し、上手に活用することで、子育ての負担を少しでも軽くしていきましょう。